旧 太極拳よもやま話 未分類

中定と不丢頂

2014年1月14日

 これは太極「八門五歩」も中で最も難しい項目とされておりほぼ不可能とも言われています。何故かと言うとこの独特な太極勁は相対的な話しであり、例えばわたくしは現在、研究会の学生の皆様にはいつものように「不丢頂」の話しをしていて実際に簡単に「ここは突っ込むましたね…、ここは離れましたね…」と軽々しく言っておりますが、今日に師馬岳梁がいったらおそらく今日の私でも師の手にかかっていたら簡単に浮いてしまいますね。本日のテーマの中定と不丢頂は同じことですが、太極拳の十三種類のパワーの中でいすれも外的な項目と内的な項目を分けて考えている為、全く同じことでも言い方が違います。簡単に申し上げますと太極拳の中では外的では「中定」と言い、内的では「不丢頂」と言っているものは、日本の言い回しで一番近いものは良い意味での「突かず離れず」になります。ひとこと言うのは簡単ですがこのほぼ不可能に近い太極勁は他の十二個の太極勁の元であり、どの太極勁にも存在し太極拳のすべてと言っても過言ではないです。言い換えれば太極拳が頂点がないのはこの最も厄介な「不丢頂」の存在があるからです。
 頂と言う漢字ですが、日本語での意訳では突っ込むと言うふうにさせて頂いていますが、元々は動物が角でぶつかり合って戦う様子を現せています。幼少期の私は推手を直接教えてくださった馬岳梁師にこのようなことを聞きました:「何グラムで頂になるのでしょうか?」と、私はこの質問をする前にかなりドキドキしていましたね。怒られるのかな~って…、でも、師はとても優しい人間だからきっと大丈夫と信じて勇気を振り絞って質問しました。結果は何故かかなり褒められましたね。但し、師の答えは当時の私が全然理解出来ませんでしたね。でも、師の言葉は自分にとっていつも真理のであることから何故かその時の答えを全部ノートに記録しておりました。師が言うには:「貴方の手が一瞬、私より僅かでも重ければ貴方がその一瞬が頂になるが、逆にその一瞬が私より少しでも軽ければ私が頂になる…」とのことでした。師の言葉はつい最近になってやっと噛み砕いたような気が致します。推手時に相手の如何なる動きに対して回収が成功すれば当然のように結果的に相手の動きが空回りになり、その相手の如何なる軽い動きも結果的にぶつかっていることになりますね。逆に相手とあまり変わらない軽さであっても、上手く相手の動きを回収できなくて、逆に相手に回収されてしまえば当然のように後に足元が浮くようになりますが、その一瞬は逆に自分が頂、つまり突いていることになります。回収することで相手に突かないことは長い間に太極拳基本拳の修練や八門五歩気功の修練、そして、長い間の謙った推手経験が物を言いますね。
 丢と言う漢字ですが、日本語での意訳では離れると言うふうにさせて頂きます。これは「頂」のように複雑ではありません。そして、初心者や中級者にはある程度有っても仕方がないと存じています。謂わば、先程の「回収」と言うかなり難しい作業の中で回収の動きが僅かに大きくなると「丢」になります。ある太極拳の先生が極端にこのように話したことがあります。「頂より丢」と、勿論、それは正解とは言えませんが、方向性は間違っていないです。相手様の動きを捉えて回収するということになると自分も当然のように相手の動きの方向へ微動するが、その微動の度合いが僅かにオーバーした事が「丢」になります。当然、初心者の「丢」はかなり大きいものでありますね。急に離れた動きに対してはその方向へくっ付いていけば簡単に相手様を一歩移動させてしまいます。但し、上級者の僅かな「丢」を捉えることはかなり難しくなります。そして、最上級者になると僅かな「丢」で相手の捉えようと言う動作を逆に捉えて回収してしまうとのことです。これは例えば片腕が後ろ手の状態で人の両手に決められて、しかも、片腕で相手の両手には勝てない状態(殆どそうだろうね)でよく使う手でございますね。
 皆様、プロの太極拳家や推手の達人になるにはかなりの歳月がかかります。
 

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